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切り抜き詳細
発行日時
2016-7-24 9:02
見出し
森青蛙とジュンサイ
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4691
記事詳細
先回、慧日寺に吟行したときのことを書いたが今回はその続き。住職さんがとても親切に寺の内外を案内して下さる。渡り廊下沿いに小さな池がある。睡蓮の葉より少し細長い葉が水面に浮いている。「あれはジュンサイですわ、水の中に食べられそうなんがありまっしゃろ」、覗き込むと灰色というかあの独特の色合いのものがある。「ほんとだ、ジュンサイだわ、おいしそう」と一行十二人のかしましいこと。「採って召し上がるのですか?」「まあ一回分の吸い物の実くらいは採れますわ」と。京都弁に「ジュンサイなお人」などと、ぬらりくらりと物事の決められない人を表現する言葉を思い出したりもする。 池にせり出して生えている木から真っ白な泡がぽとぽと落ちている。「あっ、モリアオガエルの卵だ」と叫ぶひと。「この時季いっぱいおりますわ、わざわざ写真をとりに来る人もあります」と事も無げに。 由緒ある仏殿、天井画の龍など、句材はいっぱい。みんな熱心に説明に聞き入る。自由散策に入り、再度池を巡ると卵だけではなく、モリアオガエル本体がいることを教えて下さる。雨蛙より少し大きいが、鮮やかな黄緑色の蛙が楓の枝に足と手を絡みつかせている。目の周りが金色で、何とも味のある顔つき。「卵を産み終えて疲れたのかしら」と言うと「そうかもしれまへんなあ、この前撮影した人の写真がありますわ」と見せて下さったり、本当に親切にしていただいた。お弁当を食べていたら、真竹入りの澄し汁を出して下さる。その美味しかったこと。