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切り抜き詳細

発行日時
2016-6-19 8:18
見出し
高野山
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4657 高野山への外部リンク
記事詳細
 九度山から高野山までは南海電鉄で約三十分。そこからケーブルで五分。高野山は標高九百メートル。少し気温が低く、山藤や山法師の花がまだ咲いている。高野山からバスで宿坊「真田坊蓮華定院」へ。ここは真田親子が徳川から蟄居を命じられて最初に暮らした寺。我々がバスを降りるのとほぼ同時に、外国人の団体も到着。欧米系なのか、物静かで上品な雰囲気。海外から日本へ観光客が急増しているけれど、東京や京都に比べて、高野山まで訪ねるという人たちは、かなり日本通の人たちなのだろう。  今回の旅に参加したのは九人、比較的足腰の丈夫な人たち。私も一昨年、股関節の手術をしたおかげで付いて来られた。宿坊に泊まるのは初めて、色々心配したが、相部屋は当然として、トイレはすべて洋式、お風呂も清潔、精進料理もおいしく大満足だった。  翌朝、まずは高野山奥の院の入り口までバスで向かう。弘法大師の御廟までは杉木立。山裾には大小、新旧の墓が続いている。個人のものから会社ぐるみの慰霊碑。庶民から武家、公家とおびただしい墓の林立。苔むした墓の一つにクリン草がピンク色の可憐な花を咲かせている。いずれも由緒ある名家の墓なのだが、家系が途絶えれば廃れてしまい厚く苔がかぶさっている。悲哀も感じさせられた。御廟まで行き、帰り道の谷間にクリン草の群落を発見して一同大感激。  歴史に名を遺すのはほんのわずかな人たち。流れてゆく時間の中の小さな小さな粒に過ぎない私たちだけれど、今を輝かせて生きたいと切に思った。