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切り抜き詳細
発行日時
2016-5-29 8:27
見出し
映画「家族はつらいよ」
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4639
記事詳細
「男はつらいよ」の監督山田洋次氏の最新昨映画「家族はつらいよ」を観てきた。映画館に入ると、私と同年配の女性がほとんど、たまに夫婦連れも。若い人はいない。後ろの席から「○○ちゃんが、めっちゃおもしろいと言ってたから来た」などの声がする。 一昨年だったか、山田監督の作品で「東京家族」を観た。小津監督の名作「東京物語」を下敷きにした現代映画だった。そのときのキャストとほぼ同じ俳優たちが登場。 まずは冒頭から笑い声、私も大いに笑った。家族の一人一人が主役とも言えるのだが、何といっても頑固おやじ役の橋爪功の演技が秀逸。品が良くて穏やかな妻(吉行和子)への亭主関白ぶりが可笑しい。その妻から三下り半をつきつけられて慌てふためく様子なども。これ以上言うとネタバレになるから、見てのお楽しみということに。 ゲラゲラ笑いつつ、中高年になると、誰しもが覚えのある日常の些細な夫婦の軋みが実にうまく描かれている。頑固おやじが真剣に怒るほど可笑しさが増す。つまり喜劇と悲劇はすべて裏表なのだ。共に暮らす長男夫婦の気持ち、その潤滑剤のように同居していた次男も伴侶を得て自立してゆく。ピアノ調律師の彼が残していったおもちゃの卓上ピアノ。ちらりとそれを映すことで、次男がこの三世代同居の家に暮らし続けた日々と、子どもの頃に親から注がれた愛情などが伝わってくる。監督のかつての名作のポスターや尊敬する小津監督のビデオがさりげなく出てきたり、なかなか心に残る映画でした。