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切り抜き詳細
発行日時
2016-1-21 9:20
見出し
事故
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4512
記事詳細
軽井沢のスキーバス転落事故は、運転手が峠の長いつづら折りの難所を登り切って、下りのゆるいカーブにさしかかる時に気が緩み、あるいは睡魔に襲われたのでは、と推定する。▼思い出したのが、イブ・モンタン主演の古いフランス映画「恐怖の報酬」。ベネズエラの辺地にくすぶっていたパリ野郎のマリオが、油田の火事を鎮火させるため、トラックに一触即発のニトログリセリンを積んで山谷を越え現場まで走る仕事を請け負うというストーリー。▼丸太の柱の上に敷いた崩れそうな板床の曲がり角を通ったり、道に塞がった大岩を取り除くため積み荷のニトロを使って粉砕するといった、ハラハラドキドキの場面が続き、もう1台の方の2人は爆死、自分のトラックの相棒も大ケガで目的地到着寸前に息切れる。▼ひとり莫大な報酬をもらったマリオは意気揚々と、鼻歌を歌いながら来た道を引き返す途中、何でもない下りのカーブでハンドルを切りそこなって…。成功の朗報を聞き村人達と円舞しながら帰りを待っていたマリオの恋人が、突然「あっ」と叫んで卒倒。崖を転がった彼の死体の傍らに、宝物にしていたパリの地下鉄の切符。このラストシーンがドラマの全てを物語る。▼スキーの若い乗客らと共に、さほど多額の報酬でもなかったろうバス運転手らの冥福を祈る。(E)