HOME
お知らせ
日々のこと
家づくり
農耕生活
食べもん
モノづくり
暮らし
地域づくり・人づくり
丹波のニュース
管理者コラム
お問い合わせ
オンライン状況
10 人のユーザが現在オンラインです。 (3 人のユーザが 丹波のニュース を参照しています。)
パソコンとスマートフォンのウィルス対策大丈夫ですか?
あっぷ丹波がお奨めするウィルス対策ソフトはこちら
今なら1台あたり年額約450円から
さらにさらに期間限定で
1台あたり年317円!!
切り抜き詳細
発行日時
2015-10-29 14:26
見出し
今だけ。一瞬だけ。
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4424
記事詳細
下鴨神社に納涼古本市が立つ頃、京都の大学に通う次女の案内で大学近辺を散策した。暑い日だったが、境内の大木たちが枝を広げた木陰の中を古本の屋台がほの暗い道の奥まで続く。その中をモノクロームの映像のように人が本から本へとたゆたっている。そんな夢の一片のような時間と宵闇のように暗く涼しい葉陰の中に本がそこかしこに置かれている光景は、なんとなしに懐かしくしばし時を越えた雰囲気に浸らせてもらった。 そして、市を抜けたあとは無病息災を願って毎年「足つけ神事」が行われる御手洗池で冷たい湧水に足を浸けながら、娘とたくさんのことを話した。彼女はその頃、英国への出発を控えていた時期であった。今までの京都での一人暮らしのようにすぐに会いに行ける距離ではなくなり、それほど長い間、会えないことはかつて一度もなかった。子どもは親の手を離れていくのが道理だとわかっていても大変に心細く寂しい気持ちだった。 そんな母親の気持ちを汲んでか、その日、娘は一日ゆっくり付き合ってくれた。よく考え事をしながら、風景を楽しみながら歩くという桂川の川べりを二人で歩く。娘がいつも感じている風を水の輝きを、私も感じられた。大学まで毎朝歩く道も一緒に歩いた。毎日彼女を楽しませてくれ、見守ってくれている風景と時間の中に、私も存在することができた。 良い時間だった。幸せな一日だった。秋風を感じる今朝、娘を想っている。今頃笑っているかと、娘を想っている。 (土性里花・グループPEN代表)