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切り抜き詳細
発行日時
2015-10-11 9:05
見出し
種まき
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4402
記事詳細
市島町の竹田に生まれた私は、小学校時代、郷土出身の偉人として芦田恵之助について学んだように思う。「思う」というのは、何を教わったのかまったく覚えていないからだ。何が偉いのか承知しないまま、名前だけは覚えていた。▼記憶の底にあった恵之助がよみがえったのは、大学に入ってからだった。久野収、鶴見俊輔の共著『現代日本の思想』を読んでいると、恵之助が登場してきたのだ。「恵之助の説いた随意選題はのちに生活綴り方運動という国語教育に発展した。随意選題は、日本のプラグマティズム(実用主義)の端緒となった」と紹介していた。▼論の中身はさておき、当代きっての知識人である両氏が、恵之助を取り上げていたことに驚いた。そして何より恵之助のすごさに感服し、わが郷土がすごい人物を輩出していたことをこのときに痛感した。それまで愛郷心のかけらもなかったのに、郷土への誇りが芽生えた。▼柏原ライオンズクラブの依頼を受け、柏原町内の小学校で子どもたちに柏原ゆかりの偉人の話をするようになった。どこまでわかってもらえるか心もとないが、わが身の経験に照らして、それでもいいかと思う。▼長じてから“再会”し、そのすごさを再認識して郷土を見直してもらえればいい。そのための種まきができればと思う。(Y)