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切り抜き詳細

発行日時
2015-9-17 10:54
見出し
母ちゃん一家の小さい秋がはじまりました
リンクURL
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記事詳細
 まぶたを閉じて耳を澄ます。昼間、もう汗ばむことも少なく、風の柔らかさと太陽の暖かさと眩しさを感じ、稲刈りに忙しそうな機械音がそこかしこで響いている。鼻をくんくんさせると枯れ草のような乾いた香りがする。夜、お風呂の中でまぶたを閉じる。じんわりじんわり心と体がときほぐれていき、ブルーベリーがようやく週明けに終わったこともあり、チョッと開放された気分。「ふぁ~」と一声。  日が短くなり、夕飯時が夏より少しずつ早くなり、夜の時間が長くなってきた。すると始まるのが夕飯後に行われる星観察。運動会の練習で疲れた娘は早々に就寝するときもあるが、ほぼ4人で家の裏手に回る。天の川だって分かるくらいで、冬にも負けない澄んだ空。北にはM字のカシオペア座。頭上には「秋の四辺形」と言われるペガスス座。流れ星かと思ったら何とたくさんの飛行機たち。のんびり見ていたら一枚多めに羽織ってこなかったことを後悔。「寒ぅ~」とチビタとくっついてクスクス笑う。  耳を澄ませば数週間前まではカエルの鳴き声が占領していた闇夜も、今は数知れない秋の虫たちの合唱にかわった。すると、遠くの山から鹿の寂しい声が。ギョッとするチビタに「おーさん(虚無僧)かな?山から呼んでるんかも」と言うと、「怖い~、おうち入ろ!」と。ぷふふ♪おちょくるのって面白い。何の変哲もない普通の日々。そこに五感で感じられる小さな秋が入り込んでくるだけで気持ちがほんわり秋色に染まるのだ。 (古谷暁子・ブルーベリー農家)