■ワシントンで葬儀中に始まった真珠湾奇襲■
日本時間の昭和16年(1941)12月8日、現地時間で12月7日の日曜日。場所はアメリカ合衆国の首都ワシントンの教会。ここで一人の男性の葬儀が営まれていた。日本陸軍の主計大佐ということもあってアメリカ側からもそうそうたる顔ぶれの参列者があったが、途中でみな急ぎ席を立っていった。葬儀の最中に、日本軍がパールハーバーを奇襲したのだった。大佐の名は新庄健吉氏。京都府立第3中学校、現福知山高校の卒業生で、死の直前まで日米和平の道を探り、本国へ開戦回避を訴えつつ、願い届かず病に倒れた人だった。