美容効果・介護予防、感染症予防にも!
「介護予防」の観点から日々の生活習慣を見直すというテーマで、前回お話しいただいた看護師さん、笹倉弥生さんと松尾洋子さんに今回もお話を伺いました。
今回の特集は「呼吸」。毎日毎瞬行っていることですが、少し意識を向けるだけで嬉しい効果があります。
人間本来の正常な呼吸は鼻呼吸ですが、お喋りをすることなどが原因で口呼吸を覚えてしまいました。
正常な営みではない「口呼吸」には多くの弊害があります。
鼻にある鼻毛は、空気中の荒ごみなどを除去してくれます。
口から喉にはフィルターの役割を果たすものはなく、塵やゴミなどが直接肺に入ってしまうのでそれだけで健康にはよくありません。
また鼻の管の中には三枚のひだがあり、意外に表面積が広くなっています。そのおかげで空気を自然に加湿し、肺に届く時には湿度を100%にあげてくれるので、感染症の予防につながります。
口呼吸では、口から吸った空気を加湿するために体内の水分が必要になり、口が渇いてしまいます。すると口内細菌のバランスが崩れ、口臭や虫歯の悪化の原因になることもあります。また免疫力も低下し、様々な病気にかかりやすくなります。
鼻呼吸しようと思っていても、いつの間にか唇の隙間が空いてしまっていて、そこで息をしていることはありませんか?口はぴったり閉じて、その上で大切なのが舌の位置。舌は、上下の歯の裏についている人も多いですが、これでは下がりすぎです。舌の正しい位置は、上あごにぴったりとついている状態。
舌を正しい位置につけると、それだけで口周りの筋肉が鍛えられます。また、首周りのたるみやほうれい線もなくなるので若々しくなり、小顔効果も得られます。
もちろん、介護予防の効果もあり、舌の筋肉が鍛えられることで嚥下(飲み込むこと)が高齢になっても衰えず、いつまでも食事が楽しめます。
舌の筋力や口周りの筋肉を鍛えることでより鼻呼吸を定着させるための運動が「あいうべ体操」です。口をゆっくりと大きく(できるだけ大げさに)「あーいーうーべー」と動かすだけの体操で、「べー」の時には舌を思い切り前に突き出します。大体一日30セットを目標にはじめてみませんか。
「あいうべ体操」は鼻呼吸だけでなく、唾液の分泌も促されて、口腔内の清潔が保たれたり、食事もおいしくいただけるなどメリットがいっぱいです。
福岡県にある小学校ではこの「あいうべ体操」を取り入れてから、インフルエンザの罹患率が40%近くあったのが6.68%~9.60%と激減したという報告もあります。家族全員で習慣にして、健康でいられるようにしたいものですね。
お話いただいた内容について、おすすめの書籍をご紹介いただきました。詳しく知りたい人はぜひ読んでみてくださいね。
「一生元気でいたければ足指を広げなさい ~ひとりでできるDVD付~」
湯浅 慶朗著
あさ出版
「健康でいたければ鼻呼吸にしなさい: あいうべ体操と口テープでカラダがよみがえる!」
今井一彰著
河出書房新社