「野外遊び」は何となく良さそう、楽しそう、でも実際どんなメリットがあるのかはよく知らない…そんなママさんも多いのではないでしょうか。実は野外遊びには、体力面だけでない、意外で嬉しい効果が期待できるのです。前回野外遊びのヒントを下さった山崎春人さんに、今回もお話を伺いました。
[学習面にも影響!自然遊びの嬉しいメリット]
40年近く子どもたちの森遊びにかかわり続けてきた山崎さん。子どもが森遊びをすることのメリットを語っていただきました。
「いつも言ってるのは、『(子どもたちの)頭の中にカオス(混沌)がいる』ということです。いろんなものを見たり体験したりしていても、それが整理されていない状態。それらが整理されていくのが『学習』です。」
森の中で、たとえば多くの動植物に触れる。木を切ったり、てこを使って運んだりの体験をする。その時点では混沌とした「体験」ですが、のちに「学習」という形で生物の知識や物理の原理を学ぶ時が来ます。その際学習で得た知識とリンクする「体験」が活き、深い納得と定着につながります。
「野外活動をしていると後の成績の伸びが良くなる、と、文科省の調査でも言われています。小学校の5-6年生から論理的な学習が始まります。それまでの遊びの中での『体験』がものすごく重要です。」
山崎さんはここ数十年で、森遊びに参加する子どもたちが「低年齢化」しているといいます。幼いうちから森に触れることは素晴らしいことですが、年齢が高くなるうちに、「学習が忙しい」という理由で森から離れてしまうケースが増えているのだとか。
年齢が大きくなるにつれ、森の中でチャレンジできることも増え、「カオス」にあたる経験、子どもたちの「わかった!」を裏付ける経験も増え、深まってもゆきます。できることなら長く、そして大きくなるまで、森と親しむ時間をとってあげたいものです。
野外遊びの大きなメリットの一つが、体作り。基礎体力はもちろんのこと、「保全能力」も高まる、と山崎さんは語ります。
「こけるときに手が出ず、顔からこけてしまう子が増えた、と言われます。舗装された道路しか歩かなかったり、家の中でもじゅうたんが敷かれている、そうするとこける経験がないのでこけたときに手が出なくなってきます。野外に出ることで、自分の身を守る保全能力は上がってきます」
例えば山の斜面を登るときには、独特の体の使い方をして重心の位置を調整します。また、ぬかるみに足を取られる経験や、滑ったり転んだりする経験を通して、子どもたちは体を上手に使いこなすコツを自然につかんでいきます。身に着けた「体の使い方」が自分の体を危険から守る、「保全能力」につながっていきます。
野外活動は体力を高め、保全能力や学習能力を高める効果もあります。子どもの豊かな成長を促す野外遊びの時間を、親子ともども楽しめたら素敵ですね。
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記事:丹波市のママライターS
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