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切り抜き詳細

発行日時
2012-12-13 8:32
見出し
跡片付け
リンクURL
http://www.yurakomuten.com/president/2012/12/post-214.html 跡片付けへの外部リンク
記事詳細
 父の部屋を掃除した。もう少し正確に言うと三年前に亡くなった父の遺品を処分した。
忙しさにかまけて見過ごしてきたというほどでもないし、捨てられない思い入れも特にはなかったし、たぶん何となく放っておいたというのがしっくりくる。
DSC_0645 (250x188).jpg

 ある忘年会の席で不意に「お前も早う親父を超えろよ」と言われた。とかくこれまで売り上げの大小とか着工棟数とか会社の規模云々を父と比較することのない私だったが、少なくともこの会話の相手方は私をそう見ている。それが父の部屋を片付けようと思ったきっかけではある。

 古い箪笥、古い机、古い寝台(ちなみに保険証書、通帳、その他書類は別の場所に保管されていたのです、念のため)。埃の舞い立つ六畳間から思いがけないものが三つ出てきた。
一つは日記。昭和37年元旦から始まっている。姉が生まれた翌年のものだ。
二つ目は母が父へあてた手紙。父が取っておいたのかそれとも処分し忘れたのか?微妙だ(笑)。
最後は祖父(父がまだ13歳の時に病死している)の遺書だ。遺言状、黄ばんですっかり乾い
DSC_0646 (250x188).jpgて枯れ葉のような便箋には「正しく生きよ」とだけしたためてあった。

 13歳の時にこの言葉を受け取った父を思い胸が詰まった。それから65年を経た今、粛々と私は引き継ぎ、そしていつか三人の息子に昔話のように訥々語るだろう。

 いつの間にか片付けは淡々とした作業に落ち着いていた。
亡くなった者の後をいつまでも追いかけて生きてはいられないのだ。北側にしつらえた縁の、開放した掃出しから茫々と外の光は差している。
私は空を見上げ、父と祖父を偲びつつ清澄な冬の寒さに身を任せたのだった。