先週末、入札中案件の工事業者が決定しました。
しかし、今回の仕事は形の残らない仕事です。
むしろ形を消す、お仕事です。
そう、解体工事のお仕事なんです。
私も、依頼があった時に「解体なのに、どうして?」
と言う思いがありました。
依頼があった、と書きましたがダイレクトに依頼があった訳では無く
設計事務所も入札により、決定しています。
ある時、前触れもなく書類が届きました。
内容を見てみると一度相談を受けた案件ではありました。
しかし、その時は「そのような仕事でしたら設計事務所を入れずに、
解体業者に直接依頼される方が安いですよ」
とだけお伝えしていたので、てっきり流れた仕事と思っていました。
後で、理由を尋ねてみると、このような形式になった理由を理解出来ましたが
書類が届いた時には、こんなやったことも無い仕事は「辞退しよう」との思いが先に立ちました。
現に辞退届への記入まで済ませており、後はそれだけ提出してしまえば
無事、辞退となっていた訳です。
しかし、否待てよ。
折角、地元で声を掛けて貰って、このまま辞退してもいいのか?
おまけに、そのエリアでは目下2件も地元の仕事をさせて貰っています。
ここは運の良いエリアでもあり、「やった事のない」を理由にせずに
やるべきでは?との思いが次第に強くなりました。
しかし、さて幾らの金額が適正なのか?
新築、リノベーションの相場を参考に自分なりに出した金額で
入札、無事落札と相成った訳です。
解体とは言え、工事見積もりに必要な図面を作成する作業は
ありましたし、何度も現場への確認に足を運びました。
造る所から解体まで、つまり建物が生れる所から無くなる所まで
建物の一生に関わる滅多にない機会でもあります。
私自身は、小さい頃には丹波に住んでいなかったため
ここへは通っていないので、この建物での思い出は
皆無ですが、地元の方にとっては色んな思い出が
刻まれているであろう建物です。
無事に更地となるまで、関わらせて頂きます。
芦田成人建築設計事務所にとっても、新たな局面です。