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オルビス

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発行日時
2017-4-27 9:42
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 満天の星空。凛と冷たい夜気。遠く近くに聞こえる山を住処とする生き物たちの声。薪がはぜて火の粉を闇に飛ばしながら赤々と燃える焚き火。その火をぐるりと取り囲み、思い思いにくつろぐ。  「多紀連山のクリンソウを守る会」でキャンプをした。寒さは予測していたが、木に囲まれたそこは、街の中より気温がよほど低く感じられ、陽が山に沈む頃には吸い込む空気の冷たさが驚くほどになった。私は、尊敬する、文句なしにかっこいい憧れの先輩たちと一晩を山の中で過ごせるなんて、こんな幸せなことはあり得ないので、夢のようなこの幸運に有頂天であった。  クリンソウ群生地への登り口がキャンプ地となり、炊事の準備、テント張り、テーブルやいすの準備等々、慣れた手つきで着々と準備は進んでいく。私がいつも感動することは、大先輩たちに対する絶大な安心感である。何が来ても慌てず、全てに対処の仕方を知っていて、気負いなく自然で、他の生きとし生けるものと同じように山に溶け込む存在感そのものが素晴らしい。そして、山にあって、その姿勢は美しく、惚れ惚れしてしまう。この美しさは意識して備わる類のものでは決してなく、今までの人生の積み重ねからしか手に入れることのできない「何か」なのだと思う。このクリンソウが繋いでくれたご縁に心から感謝している。  さあ、今年もクリンソウ道が整いました。5月20日頃が見ごろです。多紀連山の妖精たちがあなたをお待ちしています。 (土性里花・グループPEN代表)